日々会社で働いていくと必ずと言っていいほど、ついてくるのがクレーム。
今回は、クレーム対応を通じて見えてきた「コミュニケーションの大切さ」について、心理学的・実務的なエビデンスも交えながらお話ししたいと思います。
クレームの約7割は「感情」が原因?
まず、色々調べていくうちにわかったのが、クレームには大きく2つの種類があるということ。
- 事実に基づくもの(商品が壊れていた、納期が遅れたなど)
- 感情に基づくもの(態度が悪かった、説明がわかりづらかったなど)
意外かもしれませんが、実はクレームの約7割が「感情」に起因していると言われています(出典:日本消費者協会「苦情・クレーム白書」)。
つまり、「〇〇ができていない」というよりも、「ちゃんと話を聞いてくれなかった」「無視されたように感じた」といった“人と人とのやりとり”が、怒りや不満に火をつけてしまうんですね。
これには意外ですが、思い返すと思い当たることも無きにしもあらず。
クレーム処理は「傾聴」から始まる
では、どうすればお客様の感情を鎮め、信頼関係を回復できるのでしょうか?
それには「傾聴」の姿勢が不可欠です。
心理学者カール・ロジャーズは、「人は“理解されたい”という欲求を持っている」と述べています。つまり、「あなたの言いたいことはわかっていますよ」と伝えるだけで、相手の心は驚くほど落ち着くのです。
実際、企業のクレーム対応マニュアルにも、「最初の3分は言い訳せずに、ただしっかり話を聞く」ことが推奨されています。
✍️ 私の体験談
あるお客様が怒り心頭で電話をしてきたとき、私はただ「それは大変でしたね」「ご不便をおかけしました」と相槌を打ちながら聞き役に徹しました。
すると数分後には「ごめんね、つい感情的になっちゃって」とトーンが一変。結果的にスムーズに解決できました。
まぁ、これが難しいところなんですが…。
でも皆さんも今までの自分の体験でつながるところないですか?
「伝える力」が信頼を築く
もちろん、ただ聞くだけではなく、適切に「伝える」ことも大切です。
特に注意したいのは、専門用語や社内用語の多用。お客様にとっては「カタカナ語」や「システムの都合」は関係ありません。
たとえば、
- 「現在、社内フローの都合で処理が遅れておりまして…」
→「こちらの確認に時間がかかっており、お待たせして申し訳ありません」
というように、相手に“伝わる”言葉で話すことが大切です。
さらに、「報・連・相」(報告・連絡・相談)が社内コミュニケーションに欠かせないのと同様、社外とのやりとりでも「こまめな連絡」は信頼回復に効果的です。
対話はクレームを「信頼」に変えるチャンス
少し大げさに聞こえるかもしれませんが、私はクレームこそ「ファンづくりのチャンス」だと思っています。
実際、「神対応」として話題になる企業は、クレームを丁寧に扱い、相手の気持ちに寄り添ったコミュニケーションを大切にしています。
たとえば、ある食品メーカーは、誤配送のクレームに対し「謝罪+代替品+手書きのメッセージ」をセットで対応。SNS上で「素敵な対応だった」と拡散され、結果的にブランドイメージの向上につながりました。
✅ つまり、「クレーム対応 ≠ 消火作業」
✅ 「クレーム対応 = 信頼の再構築」
このマインドを持つだけで、対応の質がぐっと変わるはずです。
大切なのは「伝えること」より「伝わること」
クレーム対応において、コミュニケーションとは単なる「言葉のやりとり」ではありません。
- 相手の感情に寄り添う「傾聴」
- 誤解を生まない「わかりやすい表現」
- こまめで誠実な「連絡」
この3つが揃えば、クレーム対応は「苦手な仕事」ではなく、「信頼を取り戻すクリエイティブな業務」に変わっていきます。
そして何より、**コミュニケーションは“人と人をつなぐ橋”**です。
その橋を丁寧にかけていくことで、たとえ最初は怒っていたお客様とも、長く付き合える関係が築けるかもしれません。
最後に…
もし今、クレーム対応で悩んでいるなら、「自分のせい」だと責めすぎないでください。それよりも、「どう伝えれば伝わるか」を意識してみてください。それだけで、あなたの言葉は、相手の心に届くはずです。
何事も正直に誠心誠意伝えればクレームがチャンスに代わることは結構ある話ですから。
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